11000系
泉北ライナー増発用に転用


撮影日:2024年5月5日 撮影場所:我孫子前〜浅香山間

 1992年(平成4年)、高野線難波〜橋本間のビジネス特急用車両として登場。導入に合わせて難波〜橋本間の特急が新たに「りんかん」と名付けられた。
 11000系導入までの高野線特急は、難波〜極楽橋間を「こうや」として運行する17m車30000系が間合いに難波〜橋本間の区間運行を行っていた。この時、特に愛称名は付けられず、前面の表示幕には「特急 難波−橋本」と表示され、通称H特急などと呼ばれていた。高野線の沿線人口が増加し、着席機会となる特急需要の増加に合わせて区間特急も増発されたが、30000系2編成での運行には限界があり、また冬期には車両検査に伴う運休が発生していた。河内長野〜橋本間複線化工事の進展により橋本まで20m車が入線できるようになったことから、乗車人員の増加を図った20m級特急車両を新造し、難波〜橋本間特急の増発が計画されて、11000系が製造されることとなった。
 車体は同時期に製作された10000系の中間車に準じた20m級の鋼製で、側面は大型の連続窓と折戸式のドア、前面には傾斜が付き屋根近くまで立ち上がるパノラミックウインドー(曲面ガラス)上部に愛称表示機が取り付けられている。運転台は計器類がLEDによるデジタル表示となり、横軸2ハンドルタイプで電気指令式ブレーキが採用されている。パンタグラフは上り方先頭車に集約されて下枠交差形を2基搭載する。
 10000系と同じメタリックシルバーに青とオレンジの帯の塗装で登場したが、1999年に高野線特急色が統一され、30000系、31000系と同じアイボリーホワイトとワインレッドの塗装に変更された。また、同時に30000系、31000系との併結対応改造が行われ、下り方先頭車に貫通幌取り付けアダプターが取り付けられて、31000系との併結時には幌貫通を行う高野線特急の8連運転が開始された。(30000系との併結時には幌貫通は行われない。)
 2015年12月5日から運行を開始した特急泉北ライナーに転用され、当初は「泉北ライナー」のステッカーを貼って運行していたが、2016年3月より赤色の帯の一部を泉北ライナーのイメージカラーであるゴールドに変更した泉北ライナー専用塗装となった。泉北ライナー専用車両として12000系が増備されてからは運用を外れ、高野線特急色に復帰していたが、2017年8月26日より12000系の塗装に準じたゴールドを基調に青と黒のラインを用いた2代目泉北ライナー塗装となって泉北ライナーの増発に充当。その後も30000系列の検査入場時や車両故障による長期運用離脱時には塗装を戻して高野線特急の代走を務め、現在高野線特急色のままステッカーのみを掲示して泉北ライナーとして運行している。
車 内

グレーを基調とした内装で、シートピッチは1030mm。ひじ掛け収納の小型テーブルとフットレストが装備されている。

運 転 台

横軸2ハンドル式で、計器類はLEDによるデジタル表示となっている。

台 車

S形ミンデン式ダイレクトマウント空気ばね台車

主 要 諸 元 表
 
最大長 20600mm
最大幅 2744mm
最大高 4080mm(集電装置付車) 4042mm
車  体 全鋼製
性  能 設計最高速度120km/h 加速度2.51km/h/s
減速度3.7km/h/s(常用) 4.0km/h/s(非常)
集電装置 下枠交差形パンタグラフ
PT-4826-A-M
台  車 空気ばね式台車
FS-552
主電動機 直流直巻電動機
MB-3072-B 375V 145kW×4
駆動装置 歯形継手式平行カルダン
歯車比83:18=4.61
制御装置 抵抗制御
VMC-HTB-20H
制動装置 全電気指令式電磁直通空気ブレーキ
(発電ブレーキ併用、応荷重装置付)
直通予備ブレーキ
補助電源装置 DC/DCコンバーター
75kVA
 
車 両 編 成 表
 
Mc  + M + M + Mc
11001+11301+11101+11201

Mc Tc 所属
2両 2両     4両 小原田検車区
 
写 真


撮影日:2006年8月6日 撮影場所:美加の台駅

アイボリーホワイトとワインレッドの高野線特急色


撮影日:2017年1月1日 撮影場所:中百舌鳥駅

帯色の一部をゴールドに変更した初代泉北ライナー塗装


撮影日:2017年9月2日 撮影場所:天下茶屋駅

ゴールドを基調に青と黒のラインを用いた2代目泉北ライナー塗装


撮影日:2018年4月1日 撮影場所:天下茶屋駅

塗分けを高野線特急色の帯に合わせ一部簡素化された3代目泉北ライナー塗装